鶏びあ
ぼんじりには“油壷”という部位があることを知っていますか?
鶏の尻尾に当たる三角形の部分をぼんじりといいますが、こちらには“油壷”という部位が存在します。
焼き鳥店などで食べるぼんじりは、すでに油壷が除去されているため、普段目にする機会はほとんどありません。
ここからは、油壷の概要や下処理方法などを中心に解説したいと思います。
油壷とは?
ぼんじりは、鶏肉の部位の中でも特に脂乗りが良く、脂の美味しさを楽しむ部位と言っても過言ではありません。
また、そのぼんじりの中には、羽を水から守るため、脂を分泌する器官が備わっています。
こちらを油壷といいます。
“オイルキャップ”とも呼ばれるこちらの部位には独特の香りがあり、ぼんじりの香り自体が油壷から来るものだとも言われています。
しかし、焼き鳥などぼんじりをシンプルな方法で調理する場合、油壷は事前に除去されることがほとんどです。
なぜなら、非常に香りが強く、残った状態のまま食べると臭みを感じることが多いからです。
油壷の下処理について
前述の通り、ぼんじりの油壷は下処理の段階で除去されるケースが多いです。
具体的な方法としては、まず油壷を肉の外側に出すところから始めます。
ぼんじりの膨らみがある側を見ると、細長い突起が出ているのが確認できます。
こちらの膨らみがある側の皮を、骨の横から突起が出ている方向に向け、指で剥ぐように開くと、中から黄色の玉が2つ出てきます。
こちらが油壷です。
しっかり全体が見えるくらいまで肉の外側に出せたら、包丁で根元から切り落としましょう。
より完璧に除去したい方は、油壷の根元あたりまで剥いだ皮もあわせて除去するのがベターです。
また、このとき誤って油壷を裂いてしまったり、一部が肉側に残ってしまったりしても、焦る必要はありません。
油壷は、ぼんじりの肉部分とは明らかに違う鮮やかな色、質感をしているため、そちらの部分を改めて除去すれば、すべて残さず取り除ける可能性が高いです。
その他の下処理しておきたい部分
ぼんじりを下処理する際は、油壷の他にも除去しておきたい部分が2つあります。
1つは、羽毛の付け根部分である毛羽です。
魚の骨などを抜く、調理用の骨抜きを使って丁寧に取り除きます。
骨抜きがなければ、一般的なピンセットでも構いません。
肉の表面に白く見えているものを骨抜きで引っ張ると、ストローのような長い形状の毛羽が出てくるため、見落とす心配は少ないです。
こちらが残ったままぼんじりを調理してしまうと、食べたとき口の中にプラスチックが入っているような食感になってしまうため、注意しましょう。
そしてもう1つの除去しておきたい部分は、中心の骨です。
ぼんじりの中央部分には、太い尾骨が通っています。
こちらは、油壷を取り除いた後に処理するもので、まずは尾骨の断面を下向きにし、脇に切れ込みを入れて外しやすい状態にします。
その後、包丁を少し骨の外側に向け、縦方向、横方向にもハの字を意識して切れ込みを入れましょう。
このとき、下までズバッと切らないように注意してください。
骨の脇についた大きい肉の部分がつまめるため、人差し指と親指で両方をつまむように持ち、骨を押し出せば、後は肉と骨の境目に刃を当て、滑らすように切り取ります。
飲み込んだり、噛み砕いたりできる太さではありませんので、こちらを残したままで調理すると、その都度骨を外さなければいけなくなります。
油壷は料理に使える?
油壷には独特の香りと風味があり、そのままの状態で食べると臭みを感じることも多いです。
ただし、一切料理には使用できないのかというと、決してそういうわけではありません。
取り除いた油壷を加熱すると、良質な鶏油(チーユ)を取り出すことができます。
こちらは、香ばしい鶏肉の風味が特徴の油で、主に中華料理などの仕上げに使用されます。
炒め物やラーメンなどの隠し味に使用すれば、自宅でも深みのある味わいの料理を作ることができるでしょう。
また、しっかりと他の材料とあわせて調理すれば、そのままの形で使うことも可能です。
次は、油壷を使用したおすすめのレシピを紹介しましょう。
油壷を使用したレシピ
今回紹介するぼんじりの油壷を使用したレシピは、以下の2つです。
・油壷チャーハン
・油壷ラーメン
油壷チャーハン
材料(1~2人前)
・ご飯 300g
・油壷 80g
・レタス 適量
・卵 2個
・塩 小さじ1
・中華スープの素 少々
・こしょう 適量
・しょうゆ 小さじ1
作り方
①レタスを拍子切りにし、卵は割ってかき混ぜておきます。
②フライパンを熱し、油壷を入れて火を通します。
③フライパンに卵を半分くらい入れ、温かいご飯を入れて強火で炒めます。
④ご飯の塊がなくなってきたら、残りの卵、塩、こしょう、中華スープの素を加え、さらに炒めます。
⑤仕上げにレタスを入れ、しょうゆを回し入れたら完成です。
サッパリしたレタスと、油壷が持つ脂の旨みが相性バッチリの一品です。
油壷の臭みやニオイが心配だという方は、ネギや生姜などをお好みで加えることをおすすめします。
油壷ラーメン
材料(2~3人前)
・豚骨 450g
・油壷 100g
・水 1.5L
・しょうゆ 80cc
・鶏ガラスープの素 大さじ3
・麺 3袋
・もやし 1袋
・ニラ 1束
・にんじん 1本
・塩 小さじ1
・味の素 小さじ1
・ラー油 小さじ1
・酒 50cc
作り方
①圧力鍋に水、豚骨を入れ、強火で蓋をします。
②蒸気が出たら中火にし、そこから30分煮た後、火を消して蒸気が抜けたら蓋を開けます。
③①の鍋の豚骨を捨て、鶏ガラスープの素、しょうゆを入れ、スープを完成させます。
④ニラを3cm幅に切り、にんじんも細く薄く切ります。
⑤フライパンに酒、ラー油、油壷、ニラ、ニンジン、もやし、塩、味の素を入れて火を通します。
⑥麺を茹で、スープと具を加えれば完成です。
オーソドックスな豚骨醤油スープに、油壷の旨みが溶け出す満足感の高い一杯です。
こちらも、先ほど紹介したチャーハン同様、ネギや生姜などを合わせて入れることで、油壷が持つ臭みやニオイは軽減されます。
まとめ
ここまで、ぼんじりの油壷における概要や下処理方法、レシピなどを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
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ぼんじり本来の美味しさを上品に味わえる一品ですので、気になる方はぜひ一度お試しください。