鶏びあ
ねぎまの“ま”は“間”ではない!~ねぎまの歴史~
代表的な焼き鳥の種類の1つに、“ねぎま”が挙げられます。
焼鳥屋を訪れたとき、まずはねぎまを注文するという方も多い人気の串ですが、こちらの歴史について詳しくご存知の方は少ないかと思います。
ここからは、ねぎまの起源や名称の由来といった歴史について、詳しく解説します。
ねぎまの概要
ねぎまは、鶏肉とネギを交互に刺した串であり、ポピュラーな焼き鳥として老若男女問わず愛されています。
基本的に、鶏肉には脚の付け根部分であるもも肉が使用され、ネギは長ネギの場合と白ネギの場合があります。
もも肉のジューシーな脂と、サッパリしたネギは相性抜群であり、塩でもタレでも美味しく食べることができます。
また、プリッとしたもも肉と、柔らかくなおかつシャキッとしたネギの食感を交互に味わえるのも、ねぎまならではの魅力です。
ねぎまの“ま”は“間”ではない
ねぎまを表記する際は、ひらがなの場合がほとんどです。
また、こちらを漢字に変換する場合、“葱間”になると認識している方が多くいます。
つまり、「ネギの間に鶏肉を刺すから“葱間”」だと思っている方が多いということです。
しかし、実際このような認識は正しくありません。
実は、ねぎまの“ま”は、“まぐろ”を指しています。
「焼き鳥なのにまぐろってどういうこと?」と思う方もいるかもしれませんが、ねぎまの起源を辿れば、その意味が理解できます。
ねぎまの起源、歴史について
ねぎまの起源は、江戸時代の人々の間で人気だった“葱鮪鍋(ねぎまなべ)”という鍋料理です。
こちらは、読んで字のごとく、ネギとまぐろを醤油、日本酒、みりん、出汁などで煮たものであり、当時からねぎまという別名で呼ばれています。
江戸時代末期の天保以降、日本ではまぐろが食べられるようになり、当時赤身は主に醤油に漬けて保存されていました。
一方、醤油をはじき返す脂身部分、現代でいうトロの部分は、腐るだけの余り物であり、肥料に使われたり、廃棄されたりするのが一般的でした。
こちらのトロの部分をうまく工夫して調理し、ネギとあわせて煮たものが葱鮪鍋です。
また、葱鮪鍋が広まった後には、その簡略版として、ネギとまぐろを串に刺して炙り焼きにした“ねぎまぐろ”が登場しました。
こちらが、現代におけるねぎまの原型です。
しかし、戦後はまぐろの価格が高騰し、高価な食材となったことから、これまでと同じようにねぎまを作るのが難しくなってしまいました。
このとき、まぐろの代替品として使われるようになったのが、当時から安価だった鶏肉です。
このように完成した鶏肉を使用したねぎまは、ねぎまという名称を残したまま、焼き鳥の定番として定着していくことになります。
鶏肉のねぎまが広まったもう1つの理由
鶏肉を使用したねぎまが広まった理由は、前述の通りまぐろよりも安価な食材であったからです。
また、もう1つの理由としては、日本におけるまぐろの食べ方が変化していったことも挙げられます。
もともと、まぐろは火を通して食べることが多い食材でしたが、現代では寿司や刺身など、生で食べるのが一般的になっています。
葱鮪鍋は、当然まぐろに火を通す料理であり、こちらよりも生のまぐろを好む日本人が増えた結果、徐々に葱鮪鍋やまぐろを使ったねぎまの串が一般的ではなくなり、鶏肉のねぎまが定着したと言われています。
ねぎまは焼鳥屋の良し悪しを判断できる一品?
ねぎまは焼鳥屋におけるポピュラーなメニューであるだけでなく、焼き鳥業界では店舗の良し悪しを判断できる一品とも言われています。
具体的には、美味しいねぎまを提供する焼鳥屋ほど、仕事が丁寧だとされています。
その理由としては、冷凍の技術が進歩している昨今、焼き鳥の中で唯一野菜を使用するねぎまを良い状態で提供している店舗は、冷凍ではなく、その店舗が独自に丁寧な仕込みをして、他のメニューも提供している可能性が高いとされているからです。
あくまで説の1つですが、これまであまり焼鳥屋でねぎまを食べなかったという方は、一度注文してみても良いかもしれません。
ねぎまの作り方について
ねぎまは鶏もも肉とネギ、串さえあれば、自宅で作ることも可能です。
まず、長ネギもしくは青ネギを一口大に切り、もも肉も皮目を下にして一口大にカットします。
切ったもも肉は小、中、大のサイズ別に分けておき、まずは小サイズのもも肉を串に刺していきます。
このとき、皮目を串に刺し、身を挟み込むようにするのがポイントです。
皮目に串を刺しておかないと、焼いたときに皮だけが縮み、食感が悪くなってしまいます。
その後、ネギを串に刺したら、後は皮の向きを揃えながら中サイズのもも肉、ネギ、大サイズのもも肉の順番で刺していけば完成です。
ちなみに、小さいもも肉から刺していく理由は、手元側の肉の方が火が通りにくいからです。
ねぎまの焼き方について
ねぎまを自宅で焼く際には、まず中火に熱したフライパンに油を引き、皮目から焼いていきます。
焼き目が付いたら裏返し、裏面にも焼き目が付いたら弱火にして、蓋をした状態で5~7分程度焼きます。
その後、鶏肉の中まで火が通ったら完成です。
皮目の方から焼くことで、外はカリカリ、中はジューシーなねぎまに仕上がります。
また、塩で食べるのか、タレで食べるのかによっても、微妙に焼き方は変わってきます。
塩で食べる場合は、必ず焼き始める皮目に塩を振りましょう。
こうすることで、塩がもも肉に焼き付き、塩味が取れることなく味が安定します。
一方、タレで食べる場合は、先にタレを付けてから焼くと焦げてしまうため、鶏肉に火を入れてからタレを絡めます。
このとき、先に鶏肉から出た油分を拭き取っておくことで、よりタレが絡まりやすくなります。
ちなみに、ねぎまのたれは酒、みりん、砂糖、醤油を煮詰めたものがオーソドックスです。
まとめ
ここまで、奥が深いねぎまの魅力や歴史などについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
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