鶏びあ
焼き鳥はタレ派?塩派?~地域による違い~
日本全国にはさまざまな種類の焼き鳥が存在しますが、その味付けは大きくタレと塩の2種類に分けられます。また、「焼き鳥はタレ派か塩派か」という議論はよく行われますが、こちらには個人の好みだけでなく、地域性も反映されることがあります。
今回は、地域によるタレ派、塩派の違いを中心に解説します。
一般的なタレ派、塩派の意見や割合
一般的に、タレの焼き鳥を好む方は、「味が濃いのが好きだから」「ご飯にもビールにも合うから」といった意見を持っていることが多いです。一方、塩を好む方は、「素材の旨味をダイレクトに感じられる」「塩の方がおしゃれだから」という意見を持つ傾向にあります。
ちなみに、LINE株式会社のリサーチによると、焼き鳥のタレ派、塩派の割合に関しては、ほぼ半々になっていて、男女別に見てもそれほど違いはありません。
年代別で見ると、年代が上がるにつれてタレ派の割合が下がり、20代以降は塩派が多くなっています。
参考:LINEリサーチ
地域別に見るタレ派、塩派の違い
ここからは、地域ごとの焼き鳥の特徴から、タレ派なのか、塩派なのかについて考えていきたいと思います。
北海道・東北エリア
Jタウン研究所が実施したアンケートによると、北海道・東北エリアは全体的に塩派と答えた方が多いという結果になりました。ただし、タレの焼き鳥がまったく食べられていないのかというと、決してそのようなことはありません。北海道・東北エリアのご当地焼き鳥としては、美唄やきとりや室蘭やきとりなどが挙げられます。美唄やきとりは鶏肉や鶏レバー、内卵や砂肝、心臓やキンカンなどの内臓をタマネギで挟んで串に刺し、塩コショウで味付けするのが一般的です。一方、室蘭やきとりは、豚肉とタマネギを串に刺し、甘みの強いタレと洋がらし、練りがらしで味付けすることが多く、どちらも同エリアで多く食べられています。
関東エリア
関東エリアは、全体で見るとタレ派、塩派がバランス良く混在しています。しかし、東松山やきとりで有名な埼玉県周辺などでは、タレ派が多くなっています。
東松山やきとりは、豚のかしら肉を用いた焼き鳥で、唐辛子などをブレンドした味噌ダレを塗って食べるのが特徴です。この味噌ダレは、韓国出身の『大松屋』初代店主が1958年に考案しました。
中部エリア
中部エリアは、全体的には塩派が多いですが、長野県ではタレ派、塩派の方が同じくらいの割合で存在します。こちらは、元々塩派の方が多い一方で、長野県のご当地焼き鳥である美味だれ(おいだれ)やきとりがよく食べられていることが理由だと推測されます。
美味だれやきとりは、すりおろしたニンニクが入った醤油ベースのタレに焼き鳥をつけたり、焼き鳥にタレをかけたりして食べるものであり、昭和30年代に上田市内の焼き鳥店で考案され、市内の家庭や店舗に広まりました。
近畿エリア
近畿エリアは、大阪府を中心にタレ派の方が多く存在します。大阪府では、串カツや粉ものなどで甘辛いソースを用いる食文化があり、焼き鳥でもタレを選択する人が多かったと推測できます。ちなみに、京都府には雀、うずらを丸のまま串に刺し、山椒を振って食べるという独特の焼き鳥があります。
中国エリア
中国エリアは、都道府県によってタレ派、塩派がハッキリ分かれるという結果になりました。
中でも特徴的なのは山口県であり、こちらは大多数が塩派となっています。山口県長門市は、全国的にも珍しい養鶏専門の農業協同組合が組織される鶏肉の生産地です。そのため、朝挽きの新鮮な鶏肉を加工することが可能であり、焼き鳥店での肉の味付けは基本的に塩で、鶏肉本来の旨味を味わうことができます。また、名物の長門やきとりは、鶏肉の素材の良さに加え、ねぎまには長ネギではなく玉ねぎを使用することや、ちぎりキャベツが添えられること、焼き鳥店には一味唐辛子や七味唐辛子だけではなく、必ずガーリックパウダーが置かれていて、好みに応じてかけて食べることが特徴です。
四国エリア
四国エリアは、圧倒的にタレ派が多いという結果になっています。
愛媛県今治市は、今治やきとりで有名です。こちらは、他地域で見られる串刺し肉の直火焼きではなく、主に串に刺さない肉を鉄板焼きにするのが特徴です。また、今治やきとりは鉄板の上でタレを絡めながら焼くものであり、こちらが四国エリアの「焼き鳥と言えばタレ」という文化を形成していると言えます。
九州・沖縄エリア
九州・沖縄エリアは、全体的にタレ派が多いという結果になっています。
塩派が多いのは主に福岡県であり、福岡県は久留米やきとりで有名ですが、こちらはどちらかというと塩系の味付けが多いです。ただし、久留米やきとりは、串に刺したものであれば何でも焼き鳥と称するため、焼き鳥という概念がそもそも他地域とは大きく異なります。また、福岡県では、鶏の皮をらせん状に串に巻きつけて焼いたとり皮が1980年頃から食べられていますが、こちらは串に刺したとり皮を何度も焼いて脂を落とし、その都度タレに漬け込んでいきます。そのため、福岡県でもエリアによっては、タレ派と塩派で分かれています。
参考:Jタウンネット
タレに向いている部位、塩に向いている部位
地域ごとに味付けの好みは異なりますが、焼き鳥は部位によってそれぞれ向いている味付けがあります。
例えば、つくねはあっさりとした塩味よりも、甘辛いタレで食べるのに向いていますし、コリコリとした独特の食感がある砂肝は、タレよりも塩で食べる方が向いています。
ただし、ももやねぎまなど、タレでも塩でもどちらも美味しく食べられる部位も存在するため、このあたりはやはり個人の好みや地域性などで選び方が変わってきます。
また、焼き鳥店の中には、すべての部位をタレ、塩の両方でオーダーできるところもあるため、決まった味付けでしか食べられないというケースも減りつつあります。
まとめ
ここまで、焼き鳥はタレ派が多いのか、塩派が多いのかということについて、地域ごとに特徴や違いを見てきました。
部位ごとに向いている味付けはありますが、最終的にどれを選ぶかは自由ですし、さまざまな組み合わせを試すことで、新しい発見があるかもしれません。
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