鶏びあ
焼き鳥の希少部位にはどんなものがある?②
焼き鳥のポピュラーな部位と言えば、塩でもタレでも楽しめるねぎまやももなどが挙げられます。これらの部位は、どこの焼き鳥屋さんでも食べることができますが、中にはとても貴重でなかなか食べられない部位もあります。今回は、貴重かつ人気の希少部位をいくつか紹介したいと思います。
えんがわ
えんがわというと魚の部位を思い浮かべる方が多いと思いますが、鶏にもえんがわと呼ばれる部位があります。鶏の砂肝の外側にあたる部分の肉です。従来は、砂肝を提供する際の下処理で処分されていましたが、近年は希少部位として焼き鳥屋さんのメニューに載るケースも増えています。 1串のえんがわをつくるためには、鶏4~6羽が必要になると言われているほど、少量しか取れない希少な部位です。
えんがわという名前の由来は、前述の通り砂肝の外側の壁にあたる部分のみを使用しているからです。こちらは、豚肉における、豚バラ肉全体の一番外側にある肉をえんがわと呼ぶのと同じ理由です。
えんがわの食感は少し硬めですが、独特のコリコリ感とうまみがあり、砂肝よりもこちらを好むという方も少なくありません。臭みや癖はなく、万人受けする味であることも特徴です。
塩コショウで味付けして焼き上げられるのが一般的です。
ハツ元
ハツ元は、名前の通りハツ(心臓)の根元の部分です。こちらは、1本の串をつくるのに鶏が5羽ほど必要になる希少部位で、“こころのこり”と呼ばれることもあります。
鶏のハツやレバー(心臓)は、焼き鳥では定番のメニューですが、切り取られた血管については、通常捨ててしまう店舗が多いです。このように、残り物になることから、心臓の根元であるハツ元や、血管部分のハツヒモは、ハツの別称である“こころ”の残った部分ということで、こころのこりと呼ばれるようになりました。
また、ハツ元の食感は柔らかく、サックリとした歯切れの良さが特徴です。ハツの一部であることから、他の内臓系の部位と比べると臭みが少なく、とても食べやすいです。
丸ハツ
丸ハツは、部位としてはハツと同じですが、調理方法が異なります。通常のハツは、半分に開いた状態で串に刺されているのが一般的ですが、丸ハツはハツを開かず、丸い形のまま提供されます。このような形状であることから、ソーセージのような噛み応えがあり、ジューシーな食感になっています。
丸ハツが希少部位として扱われているのは、下処理や調理が大変なのが理由です。前述の通り、丸ハツはハツと同じ部位ですが、半分に切り開かずに焼き上げます。ハツは血が溜まりやすく、丸のまま焼き上げることが難しいため、多くの焼き鳥屋さんで採用されていません。
丸ハツが提供されている焼き鳥屋さんでは、店主や従業員の方が大変な処理をしてくれているということになります。内臓系の処理はどれも大変ですが、手間暇をかけなければ、丸ハツを味わうことはできません。
ペタ
ペタは、ぼんじりと背中をつなぐ皮の厚い部分です。こちらは、鶏1羽につき1個しか取れないとても珍しい部位です。付け根の筋肉を指して、“羽子板”と呼ぶこともあります。
ペタというユニークな名前の由来は、お尻の端の部分を意味する“尻っぺた”から来ているとも言われていますが、諸説あります。
鶏は皮の部分にもっとも脂があり、カロリーも高いですが、鶏皮の中でもペタは特に皮の厚い部分であるため、いわば脂の塊のようなものです。そのため、当然のことながら脂肪たっぷりで、コクのある濃厚な味を楽しめます。
食感は、皮だけにクニュクニュとしていますが、焼き方で表面のカリカリした食感と、中の肉汁たっぷりのジューシーな食感の両方を味わえます。