鶏びあ
“鶏肉=かしわ肉”ではない?~鶏肉とかしわ肉の違い~
エリアによっては、鶏肉のことを“かしわ肉”と呼ぶこともあり、これまで当たり前のように“鶏肉=かしわ肉”という認識を持っていた方もいるかと思います。
しかし、実はこちらは間違った認識です。
今回は、鶏肉とかしわ肉の違い、かしわ肉の名前の由来などについて解説したいと思います。
鶏肉をかしわ肉と呼ぶエリアについて
日本には、エリアによって呼称が違うものが数多くあります。
鶏肉もその1つであり、主に西日本(中部地方の一部、関西地方、九州地方)などでは、今でも“かしわ肉”や“かしわ”と呼ばれることが多いです。
また、かしわという呼称は、西日本における料理にも付けられています。
例えば、炊いたご飯に鶏肉、具材を煮詰めたものを混ぜた福岡県の郷土料理に、“かしわめし”というものがあります。
その他、一般的には“とり天”と呼ばれる鶏肉の天ぷらも、香川県では“かしわ天”と呼ぶのがポピュラーになっています。
鶏肉とかしわ肉の違いについて
前述したように、日本各地では、鶏肉の別の呼称として、かしわ肉という言葉が用いられるケースが多いです。
しかし、実は鶏肉とかしわ肉は、同じものではありません。
本来の意味をそれぞれ見てみましょう。
鶏肉
皆さんもご存知の通り、鶏肉はニワトリの肉のことを指しています。
また、鶏肉にもいくつかの種類がありますが、一般的に鶏肉という場合、“ブロイラー”と呼ばれるニワトリの肉を指すケースが多いです。
ブロイラーとは、アメリカ発祥の白いニワトリであり、通常のニワトリより短期間で育つように改良された若鶏の総称です。
通常、生まれてから成鶏になるまでには4~5ヶ月ほどかかりますが、ブロイラーの場合はたった50日ほどで食用の大きさに育ちます。
私たちが普段スーパーなどで購入し、調理して食べている鶏肉の多くはブロイラーであり、一般的な鶏肉として浸透しています。
かしわ肉
かしわ肉と鶏肉の違いを解説するには、かしわ肉という呼称の由来から紐解く必要があります。
中部地方の一部や関西地方、九州地方において、鶏肉がかしわ肉と呼ばれているのは、日本でブロイラーが広まる前に、日本在来種のニワトリを“かしわ”と呼んだことに由来しています。
日本のニワトリは、白いブロイラーとはまったく異なる茶色の見た目をしていて、こちらが落葉して茶褐色になった柏の木に似ていたことから、かしわと呼ばれるようになりました。
つまり、鶏肉がアメリカ発祥の白いニワトリの肉を指すのに対し、かしわ肉は日本在来種の茶色いニワトリの肉を指しているということです。
ちなみに、以前はかしわという呼び方が全国的に使用されていました。
しかし、ブロイラーが主流になるにつれ、徐々に使用されなくなり、現在は限られたエリアでのみ使用されているため、多くの方が方言という認識を持っています。
“かしわ肉”は隠語として使われていた
日本在来種の茶色いニワトリの肉をかしわ肉と呼ぶことについては、先ほど解説した通りです。
では、ニワトリの肉であるにもかかわらず、なぜ単純に鶏肉と呼ばれなかったのでしょうか?
こちらは、かしわ肉、かしわという言葉を隠語として使用していたことが理由です。
日本には、元来家畜を獣肉食とする習慣がなく、仏教伝来以降においては、獣肉食全般が敬遠され、特に江戸時代にはタブーとされていました。
しかし、それでも美味しい肉を食べたかった日本人が、さまざまな肉に隠語を付け、ひっそりと食べていたのです。
その中に含まれていたのが、かしわと呼ばれていた日本在来種の茶色いニワトリです。
ちなみに、ニワトリ以外では、馬肉が“桜肉”、鹿肉が“紅葉”、イノシシ肉が“牡丹”という隠語で呼ばれていて、こちらの呼称は現在でも残っています。
西日本にかしわ肉という呼称が残っている理由
現在、かしわ肉という呼称は、ほとんど西日本にしか残っていません。
こちらの理由としては、日本各地における流行の違いが挙げられます。
日本で獣食肉全般がタブーとされていた江戸時代も、後期になると鶏肉食が徐々に一般化していきました。
このとき、関東では軍鶏が人気であり、上方(関西)ではかしわ肉を食べるのが一般化していったとされています。
つまり、現在も西日本でかしわ肉という呼称が残っているのは、別の地域と比べて古くから流行していたから、鶏肉の種類として人気があったからだということです。
かしわめしのレシピ
かしわという呼称がついている郷土料理といえば、なんといっても福岡県のかしわめしが挙げられます。
正確にいうと、こちらはブロイラー(鶏肉)であっても、日本在来種のニワトリ(かしわ肉)であっても作ることはできますが、この機会に簡単なレシピをお教えしたいと思います。
材料(2合分※2~3人分)
・米 2合
・水 適量
・鶏モモ肉 150g
・ごぼう 70g
・にんじん 70g
・干し椎茸 2枚
・水(戻す用) 200ml
・油揚げ 1枚
●醤油 大さじ3
●料理酒 大さじ3
●みりん 大さじ3
●顆粒和風だし 小さじ2
・サラダ油 大さじ1
作り方
①米を水で洗い、30分以上浸水させ、水気を切ります。
②油揚げに熱湯をかけ、水気を切って油抜きをします。
③にんじん、ごぼうの皮を剥きます。
④干し椎茸を水で戻し、戻し汁を大さじ3ほど取り分けます。
⑤にんじんは粗みじん切り、水気を切った干し椎茸は軸を切り落として千切り、ごぼうはささがきにします。
⑥油揚げは半分に切り、そこからさらに5mm幅、鶏モモ肉は1cm角に切ります。
⑦中火で熱したフライパンにサラダ油をひき、にんじん、椎茸、ごぼう、油揚げ、鶏モモ肉を加えて炒め、色が変わったら干し椎茸の戻し汁、●の調味料を加えます。
⑧汁が半分程度になるまで加熱したら、火から下ろして粗熱を取り、具と汁に分けます。
⑨炊飯器に米、具材から出た汁、水を2合目の目盛りまで入れ、具材をのせて炊飯します。
⑩炊き終わったら、よく混ぜてから茶碗によそって完成です。
調味料の加減を好みで調整すれば、より食べやすい味のかしわめしが完成します。
まとめ
ここまで、鶏肉とかしわ肉の違い、かしわ肉の名前の由来などを中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
本記事を見て、ニワトリに興味を持ってくださったという方は、一度“鶏三和”をご利用ください。
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